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子連れ出勤に思うこと

先政府が「子連れ出勤」を後押しする考えを表明してから、あちこちでこの件をテーマに議論が繰り広げられています。

 

マフィスという、広義では子どもと一緒に出勤する場所、でも大人と子どもを混ぜずに「保育」という形をとっている立場から「子連れ出勤」について私なりに思うことを記載させて頂きたいと思います。

 

まず結論から言うと、私自身は出来るだけ毎日長く仕事をしたいので、自分の子どもと同じ空間で仕事をするのは嫌ですが、子連れ出勤を容認していく必要はあると思っています。

 

1.お金のこと

「ワーキングマザー」と一言で言われますが、保育園にベビーシッターを併用して仕事に打ち込む人から、空いた時間で仕事をしたい人まで様々な方がいらっしゃいます。

子連れ出勤に補助を出すなら保育園を増やせとか、保育士の待遇上げろという声も多く聞かれますが、一つの保育園を維持するのにいくら国のお金が使われているか、考えたことがあるでしょうか?

たとえばマフィスでも活用している企業主導型保育事業、この助成事業では0~2歳わずか30名程度の施設で、都区部等では年間6千万ほどの助成金が支払われます。5歳児までの園なら1億円はくだらない。1人あたり平均200万円くらいの国費が使われているわけです。さらに各家庭で支払う保育料を考えると、子ども一人に払われるお金は毎月20万円程でしょうか。

一方で、働く側。保育園という、毎日フルタイムで子どもを預かってくれる箱が必要な人、どのくらいいるでしょうか。

上の図は、総務省平成28年の労働力調査から。平成24年から28年の5年間でパートタイム労働者149万人増。フルタイム労働者の約6倍増えています。この調査ではお子様の年齢はわからず、パートタイム労働者の大半は、子どもが手を離れつつある方かもしれませんが、今では子どもを預ける先が保育園と幼稚園というソリューションしかなく、保育園に預けて働くために、フルタイム勤務を続けているという声もよく聞きます。

 

フルタイムでなくても働きたい。「働く」ことに多様性を持たせることに対し、子連れ出勤という別のソリューションを設けることは、現実的に必要なのではと考えています。

 

ちなみにマフィスでは、セレクトプランという週1・午前中のみという、親のお仕事状況に合わせてフレキシブルに使えるプランがあり、「保育園」をシェアすることによって、保育というサービスを使いながら働ける人数は、フルタイムのみを扱う保育園よりも多くなります。

 

2.子どもの心の育ちのこと、仕事の質量のこと

職場で、大人の中に子どもが混ざると、どうしてもパフォーマンスは落ちます。子どもには全身全霊で、丁寧に向き合わないといけない。私が高コストとわかっていてもマフィスに保育の概念を真正面から取り入れた一番大きな理由です。

子どもは、愛されるために、周囲の人々に構ってもらうために存在します。幼いころに十分に愛情を受け、満ち足りた子どもは、一定の年齢に差し掛かると周囲に愛情や思いやりを分け与えることができると、心理学、哲学の研究者であるエーリッヒフロムも唱えています。

自分に向けられる関心が足りてないと子どもは何をするでしょう。

いたずらをする、泣く、奇声を上げる。そうやって彼らは大人の関心を向けるための手段に出ます。

それを収めるために、その場しのぎにおやつを与える、スマホを渡す、最悪のスパイラルです。そんな状況に立たされる親は、子どもに対する行動の自己嫌悪と、周囲の大人への申し訳なさとの板挟み。生産性が上がるわけがない。

愛情を与えるのは親に限らなくても良いと思います。周囲の大人たち、保育園や幼稚園の先生たち、たくさんの人に囲まれて、周囲の人が自分に興味を持ってくれると自覚する子どもは豊かに育ちます。

 

雇われる側は子連れで職場に通い始めるタイミングと頻度と時間をちゃんと考えないといけないし、雇う側は何人まで・何歳までなら受入れOKなのかをきちんと考えないといけない。なぜなら、本気で子どもと向き合うって、人格を育てるって、本当に責任の大きいことだからです。子連れ出勤を推進している場合でも、「子どもの育ち」をきちんと考えた環境を考えるべきだと思います。

 

3.親子の絆のこと

子どもが親の仕事をする背中を見れることは、将来彼らのキャリア形成に少なからずプラスの影響を与えると私は信じています。

普段から十分に信頼関係が構築できた親子関係だと、パパやママがちょっと自分から目を離しても子どもは安心して待つことができます

特に、保育園に預け始めた当初は別れ際に大泣きされて、後ろ髪惹かれながら、子どもを預けて働くことが子どもにとって正しいのかどうか悩むお母さんは星の数ほどいらっしゃると思います。

では、預けてしまわずに子連れ出勤だったら解決できるのか?っていうと実際はそうでもありません。特に分離不安の激しい時期に差し掛かる1歳前後で、すぐ見えるところにママがいるのに自分のことを見てくれないとか、1日の間に何度も出会いと別れがあるとか、子どもたちにとっては酷すぎて目も当てられない、ということもあるでしょう。

だからこそ、離れているときも楽しいという環境を用意してあげたいし、そういう働き方を始める時期、頻度、時間を見極めることも大事だと思います。

 

働き方も多種多様になった昨今、保育園や幼稚園だけではなく、「自分がどんな子育てをしたいのか」「どうやって子どもと向き合っていきたいのか」「自分らしい形はなんなのか」それぞれの立場で一番の選択をしたらいいんです。そうやって納得感を持って選べたことには、後悔はないと思うのです。「働き方の多様性」が叫ばれつつある現代の日本で、子育てをして働くことの選択肢があまりに少なすぎることが問題です。

 

子連れ出勤だって、マフィスだって。ライフスタイルに応じて柔軟な働き方をしてもいいのではないでしょうか。大切なのは、子どもを育てながら働くことにも、多様性があることだと思っています。

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